「TOONTRACKラインナップの穴を埋める素晴らしいライブラリ」 / TOONTRACK 製品レビュー(プロデューサー/コンポーザー/ギタリスト:Godspeed/青木征洋 氏)

新世代のプロデューサー、コンポーザー、ギタリストとして注目を集め、“作曲”の枠を超えた幅広い活動を展開するGodspeed/青木征洋 氏より、TOONTRACK社より新たにリリースされた、伝説のエンジニア/プロデューサーのAl Schmitt氏によって制作された、『SUPERIOR DRUMMER 3』専用拡張ライブラリ『SDX – DECADES』のレビューをいただきました!


23ものグラミー賞を獲得してきた生ける伝説と称するにふさわしいエンジニアAl SchmittがTOONTRACKの20周年を祝うSDXの制作に携わり、彼の数十年の経験と技術をライブラリ化するという夢のようなプロジェクトが実現しました。

まず気になるのが音だと思うのですが「これは正しくドラムの音だ」が第一印象です。触った人であれば僕が言いたいことは直感的に理解してもらえると思いますが、過度な色付けが無くただそのまま使える自然で図太くて…そして良い音です。キットも幅広く取り揃えており、主にジャズ~ロックの範囲を非常に高いクオリティでカバーしています。

というわけで音を聴いてみて下さい。

 
ただ普通に起動してDAWにメインのステレオアウトを流し込んだだけで大体こんな音になるライブラリが他にあったでしょうか。ここまで音が自然だと、逆にグリッドに合わせた打ち込みであることに違和感が生じてくるかもしれません。
とは言え、ハイハットの微妙な開閉などサンプルライブラリの苦手とする部分にはしっかりと重きをおいたサンプリングがなされているように思います。

僕はドラムサンプルライブラリを新たに導入して起動したらまず初めにスネアをクリックして音を確かめるのですが、今回は最初の1クリックで変な笑いが出ました。
何なんだこれはこんなものが世に出てしまって大丈夫なの??? スネアの適度な重みと空間の広がりにまずため息が出ます。キックも非常に重心が低く芯のある音で、ベロシティに対して気持ち良く反応します。低いベロシティのレンジでも存在感が失われないので、表情、ダイナミクスもつけやすいです。
オーバーヘッドマイクの音も圧巻です。ハットやライドまで輪郭がはっきりしつつ、スネアとキックの重みも感じられるドラムキット全体の音が決して耳障りでは無い状態で捉えられています。
アンビエンスに関してもCapitol Studiosの広がりが巧みに収められていて、無理のない距離感、広がりの音を簡単に作る事が出来ます。
George Massenburgのライブラリ同様、サラウンドチャンネルやハイトチャンネルにも対応しているため映画館やゲームで鳴らす曲にも対応出来ますし、単純にそれらのチャンネルをアンビエンスのバリエーションとして扱うのも大いにアリだと感じます。

TOONTRACKといえばメタルドラムサンプルで有名になったメーカーですが、こうした柔らかく図太くて自然な音のバリエーションが増えるのは、使う側にとって非常にありがたいことだなとしみじみ思います。
僕は典型的なロック/メタル人間なのでこのライブラリの強みであるジャズの部分に触れる機会は少なそうですが、他のライブラリでは音が硬すぎて対応出来なかったロックバラードなんかも自信を持って対応出来るようになりそうです。

良いレコーディングをすることとそれを良いライブラリに落とし込むのは全く別の苦労があるものですが、TOONTRACKは本当にライブラリ作りに卓越したメーカーへと進化し続けています。
これからも色んなスタイルの、色んな哲学を持ったプロデューサー達とのコラボを続けてくれれば、世界中のドラムトラックが更に豊かになっていくことでしょう。

 


Masahiro “Godspeed” Aoki (Producer / Composer / Guitarist)
プロデューサー・コンポーザー・ギタリスト・ViViX代表。東京大学工学部卒。

2005年にギターインストの流布を目的とした「G5 Project」を開始。4thアルバム「G5 2013」ではオリコンCDアルバムデイリーチャート8位にランクイン。
2008年にカプコンに入社し、戦国BASARAシリーズやロックマンXoverの音楽制作を担当。
2014年に同社を退社した後は自身の音楽レーベルViViXとしての活動を本格化させる一方でストリートファイターVの作曲を担当する等ゲームコンポーザーとしても活動。
2016年4月に新世代のギタリストプロジェクト「G.O.D.」としてリリースしたアルバム「G.O.D.111」の収録曲がKONAMIの音楽ゲームGITADORA Tri-Boostに収録される。
2018年以降、ゲーム音楽を中心とした作編曲活動を行いながらもオーケストラアレンジやミキシング・マスタリングを数多くこなし、更に活動の幅を広げている。
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SDX – DECADES
総容量約99GB!あの“Al Schmitt”によって制作された、SDXライブラリ!

税込価格 ¥18,700


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