シンセ音源『SERUM』を使いこなす!Blacklolita氏によるトラックメイク術をご紹介。

世界中で大流行しているウェーブテーブル・シンセサイザー音源『SERUM』の使い方について、『SERUM』を徹底的に使いこなしているトラックメイカーの“Blacklolita”氏にそのコツを伺った。


—SONICWIREスタッフ:それでは“Blacklolita”さん、よろしくお願いします!

Blacklolita氏:よろしくお願いします!それではまずは今回テーマにするトラックをお聴きください。

 
—このトラックのどの部分に『SERUM』が使われているのでしょうか?

今回は『SERUM』の魅力を十二分に伝えたかったので、普段シンセ音源であまり作られないであろうキック、スネア、シンバル、エフェクトにいたるまで全て『SERUM』で作りました。

—なるほど、『SERUM』だけで徹底的に制作されたのですね。それでは順に解説をお願いします!

まず皆さんが気になるのはドラムの部分だと思います。

シンセと言われてすぐに思いつくのは「ピー」とか「ポッポッポ」だったり「ブワー」のような電子音だと思うのですが、『SERUM』はその枠にとらわれないと言いますか、そもそもドラム音を作れる機能が備わっています。まず『SERUM』には、以下の4つのオシレータが搭載されていることを確認しておきましょう。

・オシレータA:波形を変化させたりして音を出す
・オシレータB:同上
・ノイズオシレータ:自分の好きなサイクルをノイズとしてアサイン/サウンドに追加できる
・サブオシレータ:低域を厚くする

今回はこの4つのオシレータをフルに使って、先ほどのトラックのようなキックやスネアを作ってみました。

—それらのサウンドはどのように制作されたのでしょうか?

プリセットを読み、そこからピッチを変化させて『ドゥン』と胸に来る感じを表現しました。見ていただくとわかりますが、LFO(ローフリケンシー・オシレーター)の部分が鳴る瞬間に「ワッ」となっています。

 
この動きに合わせてピッチが変化するようにLFOをアサインしています。これがメインのキックの音になっています。

 
次にスネアです。納得いくスネアの音を再現するために、今回はスネアのためだけに『SERUM』を4台使いました。

まずは先程の肝の部分になるアタックの設定はこのような感じです。

 
そしてスネアの芯となる部分

 
これに上に重ねた「シャーン」というスナッピーのような部分

 
普段ならこの三つでスネアはできるんですけど、今回はさらに金属的なアプローチを加えたかったので、メタルっぽい音をSERUMで作って重ねました

 
それぞれは“シンセ臭く”聴こえてしまいますが、うまくブレンドすれば今回のトラックのようなそれらしいサウンドになります。

—他のトラックはいかがでしょうか。

いわゆる冒頭のプラック的なシンセのフレーズ、こういう部分は非常に良い音を奏でますね。設定的には、エンベロープをカットオフやボリュームにアサイン、LFOをピッチにアサインして動かしている感じです。

 
加えて、LFOを自分の好きなタイミングで自在に動かすために「MOD」ノブも活用しています。「SUSTAIN」の内側のドットが動いているのが分かると思います。これに伴って音の長さも徐々にのびている形です。

 
—時間経過に沿った変化をつけやすいということですね。

曲作りするときに視覚的に直観で分かりやすいというか、シンセを扱ったことのない方でも「なんか動いてる」だったりとかで非常に面白いシンセですよね。

—この冒頭のプラックどのように構成されているんですか?

こちらはかなり簡単な構成で、ノコギリ波をユニゾンで10本一緒に鳴らしたものをオシレータA、Bで鳴らして、片方のピッチを若干マイナスにしています。ピッチを調整するのには位相がぶつかってしまうのを防ぐ意味などがあります。

「シンプルな音作りで説得力のある音が出せる」というのが『SERUM』の魅力の一つですね。

—『SERUM』に元々入っているプリセットはどうですか?

元々入っているプリセットだけでも、かなり優秀です。「ゼロから音づくりをするのは難しいかな」という方にとっては、これだけでも普通に曲が作れてしまう程の代物です。

また、自分で作っていく場合でもプリセットにキックやスネアがいっぱい入っているので、「作りたい」ってなったときはプリセットを参考に自分なりのサウンドを作りこんでいくのが良いと思います。

—ありがとうございました!みなさんも是非『SERUM』を導入してみましょう!

 
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Blacklolita

福岡県北九州市小倉出身、東京在住の作曲家。2012年に音楽活動を開始。
リリース楽曲がskrillex主催「OWSLA」の傘下レーベル「NEST HQ」より特集記事が組まれるなど高い評価を受ける。Dubscribeとの共作「Jupiter」がEDM.comでスマッシュヒットし、次作の「GIGA EXTRA」と共に国内外で高い評価を得る。エイベックス・ピクチャーズ プリパラULTRA MEGA MIX COLLECTIONシリーズへのRemix提供、ラッパ我リヤ Mr.Qのアルバム「Let’s Get!」への参加、BANDAI NAMCO Entertainment Europe「鉄拳 – TEKKEN」へのBGM提供、音ゲーへの楽曲提供など幅広いシーンで活躍している。