SONICWIRE

大手ゲーム会社で数多くのゲーム音楽を手がけ、現在は株式会社IZENE で活躍の幅を広げる秋田真典 氏より、「Trailer Strings」のレビューを頂きました!

2018年3月29日 18:00 by T

大手ゲーム会社にてコンポーザーとして数多くのゲーム音楽を手がけ、現在は株式会社IZENE(アイゼン)で活躍の幅を広げる作曲家:秋田真典 氏より、Musical Sampling のラウドでアグレッシブなストリングス音源「Trailer Strings」のレビューを頂きました!


「Trailer Strings」レビュー by 秋田真典 氏

その名の通り、トレイラーミュージックに使われているような力強いストリングスで、激しい雰囲気や勇ましい曲調などにぴったりはまる音源です。

コシがあって生々しくてややざらついた、しっかりと前に出てくる存在感のある音質で、スタッカートでパイレーツオブカリビアンを弾くと「そうそう!この感じ!!」というゾクゾクするような、奮い立たせるような感情がこみ上がってきます。そんな雰囲気を簡単に出せる音源と言ったら分かりやすいでしょうか。

マイクポジションは「クローズ」と「ルーム」、その2つをあらかじめ「ミックス」されたものの3種類があります。

クローズマイクは適度な空間と距離感が感じられるもので、後からアンビエンスを加えて空間を作る必要も無く、そのままで良い感じに鳴ってくれます。ルームマイクと合わせればさらに空気感が加わり、曲想に合わせて必要であれば別にホールなどのリバーブをかければ大抵の場合はOKでしょう。個人的にはミックスマイクで十分事足りると思います。

アーティキュレーションはサスティン、サスティンソフト、マルカート、スタッカート、スピッカートの5種類で、必要最低限が収録されています。トレモロやトリルなどは姉妹製品のAdventure Stringsに収録されており、そちらを使って下さいといったところでしょうか。

基本的に両者とも同じ質感なので違和感なく混じりますが、Adventure Stringsの方がさらに距離感が近い音なので一緒に使う時にはリバーブで空間を合わせる必要があります。

今まで色んなストリングス音源を使ってきて、「もうちょっと空間があったらなあ」とか「もうちょっとドライだったらなあ」とか思うことがよくありましたが、このMusical Sampling社の製品はそんなことは全く思いませんでした。素材がとても良い塩梅に収録されていてどちらにも持っていけます。

あと一番良いなと思ったのは、細かい調整をしなくてもそのままで良い感じに鳴ってくれるところですね。発音タイミングもしっかり揃っているし、ダイナミクスコントロールが割り当ててあるモジュレーションホイールの効きも感覚的にしっくりきます。(ある点から急激に音量が小さくなったりするものもあるので)

EQをあれこれ掛けたりリバーブで空間を作ったりしなくても、そのままで OK!なくらいクオリティが高いです。Musical Sampling社の他の製品も同様なのですが、とにかく使い勝手が良く、価格もオーケストラの音源としては手頃なので力強い曲を作るには最もオススメできる音源です。


Composer 秋田真典 氏

コナミグループにてコンポーザーとして数多くの家庭用ゲーム、アミューズメント、遊技機の音楽を手がけたのち退社。現在は株式会社IZENE(アイゼン)に入社し、サウンド制作スタジオINSPIONにて、様々なフィールドでの音楽制作を行っている。

https://www.izene.co.jp/