多岐に渡る活動を展開するギタリスト大和 氏より、TOONTRACK のプログレッシブ・メタル系拡張ドラム音源「SDX PROGRESSIVE FOUNDRY」のレビューを頂きました!

バンド「大凶作」「DOPEDOWN」や、ギタリストチーム「G.O.D. GUITARIST ON DEMAND」「G5 Project」、その他アーティストのサポートなど、多岐に渡る活動を展開するギタリスト:大和 氏より、「SDX PROGRESSIVE FOUNDRY」(以下Progressive Foundry)のレビューを頂きました!


私は10年近くToontrackのドラム音源を使い続け、EZX、SDXともに多くを試してきましたが、このProgressive Foundryは特にお気に入りのライブラリとなりました。

Toontrackのドラムライブラリに特に魅力を感じているのは「打ち込み時やミックス時にまったく苦労しない、生々しいけど綺麗で超使いやすい音質」です。特に金物系ですね。シンバル、ハイハットが特にそう感じます。そしてこのProgressive Foundryは、私が使用してきた中でもシンバル類がかなり使いやすく、さらにオーバーヘッドマイクは、コンデンサー、リボン、チューブなど数種類のマイクを使用してそれぞれが別トラックとして収録され、使い分けが出来るようになっています。

オーバーヘッドの音はドラムだけでなく楽曲のアンサンブル全体の印象を左右するほど重要なものですので、それを曲調やミックスで使い分けが出来るという点は感動を覚えたのと同時に60GBもの大容量データをダウンロードしてきた甲斐を感じました(笑)。

本作をプロデュースしたのはプログレッシブ・ロック、プログレッシブ・メタルの匠、Forrester Savell氏。KarnivoolやSikTh、Twelve Foot Ninjaなど、挑戦的な楽曲を生み出し続けているグループの多くの作品にプロデューサー、エンジニアとして携わり、美しくそして力強いサウンドを完成させています。

Progressive Foundryはロゴやパッケージの雰囲気からはなんだか強そうな音がしそうで、また公式にもヘヴィ・メタル系の音源と謳われています。確かにベロシティを大きく上げた時の力強さや音の張りは、よりガッツのあるサウンドを求めるミュージシャン達にうってつけのものになっています。特にスネアは太くてパンチがあり、またしっかり芯があるのでとても扱いやすい。

しかし「プログレッシブ・ロック」「プログレッシブ・メタル」のサウンドとは、力強さがあるだけではいけないと私は考えます。ガッツのあるサウンドと、それと対比する静かで繊細な表現も不可欠であり、またその両者が同じ方向性や質感を持ったサウンドとして収束されている必要があると思うのです。例えば、Aセクションは爆発的にラウドで、次ぐBセクションは一気に落ち着き、CセクションはラウドだけどノリはAより疾走感があり、DセクションはBよりもっと静かで・・・といった感じで目まぐるしく曲調が変化していく楽曲があったとして、いずれのセクションにも対応出来る表現力の幅と、どれだけ表現が変化しても楽曲が持つサウンドの一貫性を失わないようまとめなければならないということです。もっとわかりやすく大雑把に言うと、Aセクションは激しいからバキバキに固くしたけど、それだと静かなBやDセクションに上手くハマらない・・という感じにならないように、演奏やレコーディング・ミキシングでナチュラルにバランスを取っていかなければならないという感じでしょうか。とても難しい作業だと思います。

しかし、前述のバンドと、そしてこのProgressive Foundryは、それを実現させています。アレンジ作業中の微妙な表現への欲求も、簡単に応えてくれます。例えばスネアだけ見ても、前述のようにベロシティを120近くまで上げていくと「バァン!」と目の前でぶん殴ってるようなパワーのあるサウンドを出してくれますし、ベロシティを下げていくと非常に滑らかなカーブで段々と繊細になっていきます。しかしどう鳴っていてもオーバーヘッドやアンビエントの広がり感や豊かさは損なわれず、どうにでも転ばせられる柔軟性を見せてくれます。そんな音がスネアだけでも16機種も収録されています。他のSDXと比較しても随分多いのではないでしょうか。圧倒的な幅広さがあります。一体どれだけのサンプルを収録したのか。考えただけでも気が遠くなりそうですが、 Forrester Savell氏の強いこだわりと、プログレッシブな音楽への愛をひしひしと感じるのと同時に、60GBものデータをダウンロードしてきた甲斐をまた、感じました。

実際に使用してみた際の音質の感触は、 プロデューサーのForrester Savell氏の手がけた作品に見られるようなモダンで美しいイメージそのままでした。ローの感じも全体的にタイトで扱いやすく、ギター・ベースなど他の楽器の音をガッツリ太くしてもしっかり主張してきます。ですが、音像は全体的に少し遠めで、アンサンブルに馴染みやすい。ここで、スネアやキックをもっと前に出して目立たせたいという時、コンプレッサーなどでトランジェントを弄るよりも、単にベロシティを少し上げてやればスコンと抜けて出てきてくれます。Progressive Foundryの持つ幅広い表現力のおかげで、非常にシンプルな作業だけでナチュラルな結果を得られました。プログレッシブな音楽を作るミュージシャンは皆、うるさいほどにこだわりを持っていることでしょう。紛れもなく私もその1人です。その多くの欲求に応えるポテンシャルが、このProgressive Foundryにはあると思います。


大和

バンド「大凶作」「DOPEDOWN」や、ギタリストチーム「G.O.D. GUITARIST ON DEMAND」「G5 Project」などで活動。
その他、ギタリスト、コンポーザー、アレンジャーとして数々のアーティスト・作品に携わりつつ、ふだんはごはんを食べている。

http://y-a-m-a-t-o.tumblr.com/
https://twitter.com/y_a_m_a_t_o