SONICWIRE

今年は”巡り”から始ります。

2009年1月5日 18:13 by kim

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新年、早速ではありますが、CV03のリリースにむけて、関連する諸情報を順次公開していきたいと思います。宜しくお願い致しますm(_ _)m

下記は、CV03のコード(記号)/コンセプト、キャラクターボイスの提供者様(声優様)などについて、VOCALOID開発班のwatからの説明コメントとなります。※前回CV02の折はDTMマガジン様で解説させていただきましたが、その後”鏡設定”の真偽についてなど問い合わせが多く、今回はブログにも掲載させて頂きます。

長文となりますが、ご了承ください。

■CV03のコードネームについて

CV01「”初”めての音」、CV02「”鏡”に写った音」というコンセプトで付けられた苗字内のコード(記号)部分ですが、CV03では「”巡り”伝わる音」という意味を持つ、巡り⇒”巡(めぐり)”という一文字がキーワードとなっております。

“巡り”の意味としては、VOCALOID2エンジンにて収録可能な全ての音素を詰め込まれた彼女が、その組み合わせ(異言語の巡り合わせ)という可能性の中で、広いフィールドでの巡り合いを繋げ、概念と概念のハザマ(人と機械、文化と文化、言葉と言葉etc)を、辿って欲しいと考えました。
その背景には、「実体が希薄なVOCALOIDだからこそ可能なイメージの流浪は、もはやVOCALOIDの印象と切り離せない、特異な個性なのでは無いか?それが進行し、巡り、記録として蓄積される中での、歌(声)の記憶(印象)でしか、そのVOCALOIDの名称の存在意義が無いのではないか?」というCVシリーズリリース直後からの流れの中で抱いていた私の印象。それを素直に当てはめたのが”巡”です。(他には、”からだ巡茶”の響きにインスパイアされた部分もありますが…)

※また、歌が空気中を”音の振動”として巡り伝わる際に、最初に通る人間の”喉〜口”と、人工的かつ音楽的な喉もどき(管楽器)にも着目しました。そこで”巡”と、イラストデザインを繋げるモチーフとして、空気の通り道…スタンダードな金管楽器から昨今のバーチャルアコースティック技術(管の中の空気の流れをシミュレートした物理音源など)をデフォルメして記号化しております。喉にしろ、耳にしろ、”管”というのが人間と音にとって最も具体的な出会いをつかさどる器官と思います。

■声優様について

今回、CV03に声(キャラクターボイス)を提供頂いたのはアーツビジョン所属の浅川悠さんです。

何故、CV03の声が、彼女なのかをお話しすると少々長くなるのですが…

まず初め、歌手ではなく声優なのか?という所までさかのぼります。当初ヤマハ様より、日本語版のVOCALOIDは4〜5時間、日本人で英語版になると(仕様にもよりますが)、恐らく日本語版の数倍以上の時間がかかるであろうと聞いておりました。その時点で声の提供者の条件には、相当な根気と、声(発音)のキャラクターの整合性が求められた訳です。しかも英語版の収録時には一部、日本語収録には無い非言語による変則的な早口言葉も含まれており、特殊な言葉(効果音的なものも含む)に慣れていて、長時間のゲームのボイス収録(シーン毎の断片的な台詞の羅列)に慣れている声優さんにお願いするしかないと考えました。結果、それら条件をクリアし、かつVOCALOIDとしての個性を考えた場合、声優の浅川悠さんにキャラクターボイスをご提供いただくのが最良と考えたのです。(自分が”とっとこハム太郎”の隠れフリークだったのは秘密です)

以上により、2007年初旬(”初音ミク”を具体的に考案前)の時点で「声優”浅川悠”さんの声で、VOCALOIDにデータベースを吹き込み、将来的に英語版の追加ライブラリをリリースする」というのアイディアがありました。

しかしながら、その後直ぐに暫くの間、スケジュール面での折り合いなどが付ない事が判明、平行して考案中であったCV01「初音ミク」の制作がスタートし…その後はご存知のとおりです。
結果的にCV01は、記録的なセールスを記録し、(CV02の仕様変更と共に)CV03にも変更が加わり”追加ライブラリ”を予め同梱し、一つのVOCALOIDとする事となりました。

長時間、複数回の収録の中で、立ちっぱなしの足の痛みを押してCV03に声を吹き込み、また日本語の発音と、英語の発音の相互の相性を求める実験的で試行錯誤の試みに、お付き合い頂いた浅川さんに深く感謝いたします。ありがとうございました。

※最後に、浅川さんのクールで魅力的な声質の詳細にも触れたいのですが、ここで言語化すると無用な先入観に繋がる恐れが有りますため、今回は控えさせていただければと思います。

■その他の諸情報

CV03では、ブレス(br1〜br5)を長めに発音させるのに便利な追加音素など、幾つかの非常に細かな要素が、英語版/日本語版両方に若干数含まれます(これらに関しましてはWEB上にて何らかの形で、情報開示を致します)。
またガイドの冊子は、英語/日本語ライブラリ両対応で現行PDF版マニュアルの要素を含む100ページ超のマニュアルとなります。

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本日の情報は、以上です。次回の情報をお楽しみに!

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