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[VOCALOID2情報] 「Project if…」についての余談と、講演に関するお詫び

2009年10月28日 20:07 by wat

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VOCALOID2 「Project if…」のデモサンプルをYOUTUBEにアップロードして、ちょっと気が緩んだのかダウンしてしまいました。watです。(本当は日ごろお世話になっているニコニコ動画さまにこそアップロードすべきなのですが・・・スイマセン)

今回は、「Project if…」についての余談と、講演に関するお詫びをさせて頂ければと思います。

■「Project if…」について

まず、「Project if…」について。こちら諸事情により、急な新プロジェクト発表&デモサンプル公開とさせて頂き、混乱を招いてしまった部分があり、申し訳ありませんでした。(&諸事情についてはお話できないのです・・・スイマセン)

こちらの企画立案は今年に入ってから春先でしたでしょうか。

まず「ねんどろいど初音ミク」などでお世話になっております、グッドスマイルカンパニーさんが、(元々、芸能事務所系のお仕事をされていたことも有り)現在もWHOOPEEという事務所さんをお持ちであることを知った所からはじまります。

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我々は当時CVシリーズが一段落した所でして、声優さん以外で、様々な年齢と経歴をお持ちの歌手/役者さんなど、声のお仕事をされている方々に改めて興味を持っていたところでした。

ただ、新規に芸能事務所さまに営業を掛けるのも難しい部分があるので、既にVOCALOIDについてお詳しかったWHOOPEEさんのコネクションから、VOCALOID収録という特殊な録音作業についてお引き受け頂ける芸能事務所さんを探し、ここ半年で6名の方についてテスト録音を行わせて頂いた。。。という経緯です。

その6名の中で、最初に録音され、そして最もVOCALOIDに対する適応性が高かったのが、VOCALOID2 「Project if…」のデモサンプルのリードボーカルの彼女です。もう圧倒的な適合性の高さ。彼女の収録が、子供VOCALOIDが本格化したキッカケです。

ここに至るまで、たしかに収録スクリプト(読み上げ文章)のチューンナップや、収録方法の工夫をしていた事もあったのですが、、、とにかく彼女の適応性は高く、雑念の少ない素晴らしい集中力で、すんなりとVOCALOIDが出来ました。

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・・・その後、この子供VOCALOIDについての、さまざまな要因(子供である事などの要素)や、この音声とVOCALOIDエンジンの因果関係の検証、事務所様方への相談や、各種打ち合わせを経て現在に至ります。

今日ここまで、とても時間の流れはとても早かったように思えます。。。。

正直、今も自分にはこのVOCALOIDについて捕らえきれていない部分があるのですが、今後の制作に、この貴重な経験(録音時の環境)、音声データーを生かしフィードバックしなければならないと強く感じております。(現に初音ミクAppendはそういう要素があります)

・・・逆に少しネガティブなことを書かせてもらいますと、VOACLOIDは「人をキャプチャー素材とした人の形をした人以外のもの=人形の一種」という考え方が出来ると思います(私個人にも半ば強迫観念としてそういう気持ちがあります)。

この子供をモチーフとしたVOCALOID。これも初音ミク等同様、人々の注目の中にある、人の匂いのするモノの性として、様々な解釈、意味付け、理由付けをされた作品が作られる事になると思います。場合と内容によっては、深い議論があるかもしれません。

この歌うソフトウェアは、考えるに、今、「最も子供に近い声で歌える、子供ではない何か」です。子供とは(少なくなってしまった)未来の象徴であり、もう一段介して、作られた声(演じられた声)である初音ミクよりもより、生生しい未来そのものです。また同時に、上記のように弊社のVOCALOID開発としても様々な事を気づかされ、思い直させられた大きなターニングポイントでもあります。。。少なくとも売れる売れない以上の大きな意味があります。

結局、私は世に出すための決断をしました。今回の決断は自分の人生の「if…」となるかも知れません。(他にも高校生の頃に大好きだった、斜め上のサプライズストーリーの有るゲームのタイトルが「(真・女神転生)if…」だったりもするのですが)

また、私の人生なんてもの自体、サンプリングミュージック(コラージュ〜ヒップホップ〜音響)マニアである事なんて、おおよそ社会的に役に立たない理由でこの会社に雇ってもらって、VOCALOIDの担当なんてなろうと思ってなるもんじゃない仕事につき、何の因果か「初音ミク」をリリースし、皆さんの多大な助力で、今、ご飯を食べている訳で。

いまある状況を最大限公開しつつ、「音の意味と、サンプリング合成技術、そして時間に裁かれる」のを待つのが良いのかなと思っています。。。

・・・と、しみじみしてしまいました。昨日の公開まで凄く悶々としていたので何時もより変わった事を言っているかも知れませんがご了承下さい。兎に角、こんな風に考えて今も試行錯誤しています・・・というエントリーだと思っていただければと。

少々湿っぽくなってしまいましたが、下記、今後の展開について・・・


・「Project if…」についての特設サイト設置準備/11月上旬見込み(最初はティザーサイトっぽくなる予定)

・「Project if…」についてのTwitterでの情報開示開始/近日(裏話的な少し軽めのニュアンスも足せればと)

・男声VOCALOIDのデモソングの準備/年末年始に間に合えば

あと、若干、遅れが生じております「初音ミクAppend」について何とか年内に”皆様”に触れていただく機会を作るための準備(かなり調整中です)

以上に関しましては、状況が定まり次第別途エントリーにてお伝えさせていただく予定です。宜しくお願いいたします。

■講演に関するお詫び

先週の土曜日に拓殖大学文京キャンパスで行われた、講演に関しまして一部誤解を招く言い回しがあった事をお詫び申し上げます。こちらの中で、関連企業様とのタイアップや商品企画などをご紹介させていただいたのですが、その際、SuperGTにおける初音ミクの痛車企画について、音楽製作ソフトとしての初音ミクから広がった先の特殊な派生展開としてご紹介いたしました。それが一部、本講演に来ていただいた方のレポートなどで、痛車企画そのものを否定するような表現があったようにご指摘を受けております。結果的に誤解の有る表現・解釈に至ってしまったこと、関係者様、ファンの方々に不快な思いをさせてしまった事について深くお詫びさせて頂きます。

誠に申し訳ありませんでした。以後、気をつけたいと思います。

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